備長炭焼鳥 鳥しげ
鉄骨造3階建、店舗併用住宅
移転先に選んだ土地は通りに面した約18坪の三角地。1階を店舗、2、3階は住居スペースで建築計画として検討を進めました。ご要望をヒアリングさせて頂いたところ、1階の店舗では6.5mの直線の木のカウンターの設置とお客様の席を広く確保し、座席の後ろを人が通れる余裕が欲しいとのことでした。間口が広く奥行きが少ないかなり特殊な形状の土地に3階建で希望の間取りを実現するため、結果主構造は鉄骨を採用とし居住スペースについてもご要望を踏まえてプランニングしました。
お客様を一番始めに出迎える外観は、目を引く印象となった黒い外壁。杉板を焼いて作った焼杉の板をほぼ全面に使っています。玄関の周り部分のみ漆喰仕上げ、土佐杉の一枚板から作った引き戸と白い壁がとてもいいコントラストになっています。
内部の造作と仕上げは「ご主人との打ち合わせの中から奇をてらったデザインでなくシンプルでありながら品のある優しい空間を演出していこう」ということで和風の設いです。店内にはお店の顔ともいえる一枚板のカウンターがあります。原板は長さ7m、幅60cm、厚み6cmのヒバ材です。年輪が細かく水に強く、黄色がかっているのが特徴。飲食店のカウンターには最適な木材です。
お客様とのコミュニケーションを大切に設計した板場の床は、客席よりも40cmほど下げてあり、ご主人とお客さんとの目線が合う様にしてあります。ご主人が焼き鳥を焼いたり、奥さんがお酒の用意をしたりする板場は真壁づくり。数寄屋建築や茶室に用いられる杉の面皮柱が見えます。その名の通り、丸太の丸みを残して作られているので、角柱よりも優しく映ります。
私たちもお店のファンで通わせていただいた縁で建築をご依頼いただきました。見どころがたくさんある店内でくつろぎながら、おいしい食事を楽しみにお出掛けください!
お店情報:鳥しげ(@torishige_fujieda)
木のぬくもりが心地よい和の空間
アプローチには桧の格子と白い玉砂利
外壁は焼杉の羽目板と漆喰仕上げ
約18坪の三角形の建設予定地
主構造は鉄骨造
エントランスにはオーダーメイドのL字の庇
一枚一枚丁寧に張り上げた焼杉の羽目板
お店の玄関の引戸に用いた土佐杉の一枚板
エントランスは鉄製の庇と桧の羽目板、杉の絞り丸太、土佐杉の引戸の組合せ
ヤマタケの倉庫でお施主様にカウンターのヒバ材を見て頂く
盤からカウンターの寸法に製材
7mの一枚板の加工は5人掛り
カウンターの付台の仕上げをする棟梁
仕上げが終わったカウンターにオイルを塗装
木の香りが心地よいヒバの一枚板のカウンター
食器が並ぶとより華やかな空間になります
随所に棟梁の匠の技が光ります
夜の雰囲気もとても素敵なエントランス